1冊くらいは恋愛小説をと思い、とするなら立原正秋か高橋治の中からと考え、標記にした。
読む本は圧倒的にノンフィクションが多いけれど、恋愛小説も嫌いではない。若い頃は専ら井上靖だった。『ある落日』『満ちてくる潮』『氷壁』などなど、文庫になっているものはほとんど読んでいる。
何故好きか、悪人が出てこないから。私の恋愛観は井上靖によって形成されてきたと思っている。
井上靖の恋愛小説には寝屋の表現は皆無である。それでも井上靖はお嬢さんに、自身の本を読ませなかったという。お嬢さんが書いた本に、そう書かれていたのを読んだ記憶がある。
立原正秋、藤田宜永、高