連載:倭人伝の真実に迫る

邪馬台国論争の変遷

倭人伝解読の詳細に入る前に、過去の説を振り返ってみる。邦光史郎氏の『邪馬台国の旅』を参考にして整理した。

① 『日本書紀』(720年)が「魏志曰く」と倭人伝を引く。但し、朝貢が景初3年と記さ
れており、書紀の編者は景初2年と記した正統な魏志を見ていない可能性あり、と私は考えている。ともあれ書紀の景初3年が正しいとなって、倭人伝にも誤記があるとの根拠を後世に与え、倭人伝の文字や数字が軽く改訂される風潮になってしまったそうである。

② 『釈日本紀』(鎌倉時代)、卜部懐賢(やすかた)が、「日本人が中国に行った時に倭奴
と言ったことが、その後も邪馬臺や邪馬堆