再度の小諸文学散歩

私は小諸で小諸義塾教師をしている時期の島崎藤村に親しみを感じている。自分も若い頃、田舎教師の経験があるからだろう。私は昭和55年(1980年)4月に都内の女子短大の専任講師の職を辞して地方の4年制大学に赴任した。学部学生及び大学院生の時期に苦学生だった私は研究者としての実力がないことを自覚していた。環境を変えて研究の進展を図ろうとした。しばらくは慣れない地で適応するのに苦労をしたが、その後の人生のためには良い選択だったと思っている。

 島崎藤村は明治32年4月に小諸に赴任した。27歳の時だ。函館の富裕な網問屋の娘・冬子と東京の神田明神近くの料亭で結婚式