「島崎藤村」の日記一覧

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3月16日から31日までに読んだ本

①混声の森(下)(松本清張  光文社文庫)  専務理事の石田の野望は、文字通り成功裏に終わるかに見えた。新学長を迎えての記者会見も滞りなく終わった。後は、新体制による大学の教育方針の刷新と、具体的な組織の再編に向かうところである。しかし、理事長就任を果たした石田の心中に言いようのない不安が影を落とす。新学長との面接の中で、石田は忠誠を誓うが、ややあって、新学長から理事長辞任の方針が示される。石田…

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2月16日から29日までに読んだ本

①黄色い風土(松本清張 講談社文庫)  本編だけで748頁の長編。北海道は小樽、熱海の錦ヶ浦、名古屋などで連続して起きる6件の変死の発見は、そのいずれもが殺人事件であった。敏腕の記者「若宮」が事件を追いかける先々で事件の背後にある組織らしいものを朧げにつかみ始める。  太平洋戦争末期に行われていたB作戦とはつまりは偽札を印刷し、侵攻先の物資を入手し、経済を混乱させるものであったが、その機械と、高…

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また映画で感動しました

島崎藤村の「破戒」を映画で見ることにして名古屋へ行く。 藤村の生まれた馬篭には何度も足を運んだが本は読んでない。 今回は「水平社発足100周年記念」として撮影された。 むろん部落差別が主題になるが物語には感動した。 ハッピーエンドは知らなかったので余計に幸せ感が深い。 暗い内容に暗いイメージが付きまとうが真っ直ぐな生き方。 これほど人間として人として崇高な生き方があるだろうか。 …

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破戒(はかい)

島崎藤村の小説『破戒』が映画化されました。 これまでに2度、映画化されてきた名作を60年ぶりに 前田和男監督が間宮祥太朗を主演に迎え映画化。 小説『破戒』は、1906年(明治39年)に 自費出版されて以降、根深い部落問題が論争となり 一時絶版ともなった、人権問題、社会問題の実態 を描き出した名作です。 主人公が差別問題で苦しみ葛藤する姿を描いた今作は、 出版から110年以上経った現代にも …

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中山道木曽路を歩く(その4) 三留野~妻籠~馬籠宿

2021-5-23(日) 今日は「中山道木曽路を歩く」、シリーズ4回目です。三留野(みどの)~妻籠~馬籠宿の3宿、宿間距離にして13.5kmを歩きます。木曽路は北の贄川(にえかわ)宿から南端の馬籠宿迄の11宿になりますが、既に中津川宿以西の京三条までは歩き終えていますので馬籠宿で終わると、馬籠宿~中津川宿間が開いてしまいます。4月下旬に藪原宿をスタートしておりますので、私流の木曽路11宿は藪原宿…

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島崎藤村の「破戒」を読んで!

1904年~1906年にかけて書いた長編小説「破戒」は、長野県飯山で教員生活を、この小説を書くにあたって、辞め上京して34才に自費出版しました。 上京した2年間の生活は厳しくて、幼い子供たち3人を病気で亡くし、妻も栄養失調のため1910年に亡くなりました。 「破戒」は日本の封建制のゆえに、同じ人間でありながら差別されるという不合理を日本の悲劇として取り上げています。 作者は、明治時代になっても…

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「夜明け前」を再読終了しました。

米国ペリー来航の1853年前後から1886年までの幕末、明治維新の激動期を、中山道の宿場町であった木曽路・馬籠宿を舞台に、主人公青山半蔵を巡る人間模様を描き出した島崎藤村の晩年の膨大な歴史小説です。 17代続いた本陣の当主(藤村の父親がモデル)旧家に生まれ、国学を学び、役人になりますが、西洋文化を意識し、文明開化他政府による人々の圧迫など、半蔵の希望と違うものだったので、山林の国有化に対し…

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130、「嵐 他2編」(島崎藤村著)は男手1つで4人の子供を育てる作家の生きざま描く

『嵐 他2編』 島崎藤村著 岩波文庫 1956年3月26日発行 ー尊敬する正宗白鳥が、日本自然主義文学を代表する作家は、島崎藤村だと言うので、それを確認することから、島崎藤村の作品を読みはじめ、『新生』『千曲川のスケッチ』を読んだ。『夜明け前』『破戒』は、それ以前に全部を読了した。特に『新生』は感動した。それで、この『嵐 他2編』も、ブックオフで見つけたので読了した。藤村にとって、この小説は、『…

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117、「新生後編」(島崎藤村著)は岸本と姪の節子は愛を貫く

「新生 後編」(全2冊) 島崎藤村著 岩波文庫 1956年1月9日発行 ー正宗白鳥が、藤村の「新生」は姪との不倫をテーマにした藤村の人間性を疑うような問題のある小説だと言っていたが読了し、その見事な岸本と節子の心の動き、生活が的確にリアルに描かれていて、生き様に納得させられた。さすが、自然主義の代表作家であり、藤村の代表作だと思った。 ーもはやひところのように恐ろしく神経のとがった、いたいたしい…

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1日1首(令和2年9月16日~9月21日)

令和2年9月16日 買い物に妻と喧嘩し買えないと言われはしたが買って貰った     9月17日 プリンター廃インク処理必要とヤマダ電機に依頼するなり         9月18日 菅首相スマホ料金安くする沖縄辺野古埋め立てはする     9月19日 故郷に住む母百まで1年半トイレ自力で今も行ってる     9月20日 我が遺産投稿文集残すことそれは「わたしの遺産」ではないと     9月2…

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115、「新生前編」(全2冊)(島崎藤村著)は岸本捨吉の生きざま描く

「新生 前編」(全2冊) 島崎藤村著 岩波文庫 1956年1月9日発行 ー「岸本君ー永遠に堕ちて行くのは無為の陥穽である。無為の陥穽にはまった人間にもなお1つ残されたる信仰がある。二千年も三千年も言い古した、哲理の発端で総合である無常ー僕は僕の生気の失せた肉体を通して、この無常の鐘の音を今さらながらしみじみときき惚ることがある。これが僕のこのごろの生活の根調である」  友人の手紙が岸本の前にひろ…

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112、「千曲川のスケッチ」(島崎藤村著)は明治時代の小諸の生活描写したなり

「千曲川のスケッチ」 島崎藤村著 岩波文庫  1943年3月10日発行 ーわたしの心は詩から小説の形式を選ぶようになった。この書のおもなる土台となったものは3、4年間ばかり地方に黙していた時の印象である。  わたしがつぎつぎいに公にした「破戒」、「緑葉集」、それから「藤村集」と「家」の一部、最近の短篇なぞ。  寂しく地方に住む人たちのためにも、この書がいくらかの慰めにならばなぞとも思う。  大正…

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112、「千曲川のスケッチ」(島崎藤村著)は明治時代の小諸の生活描写したなり

「千曲川のスケッチ」 島崎藤村著 岩波文庫  1943年3月10日発行 ーわたしの心は詩から小説の形式を選ぶようになった。この書のおもなる土台となったものは3、4年間ばかり地方に黙していた時の印象である。  わたしがつぎつぎいに公にした「破戒」、「緑葉集」、それから「藤村集」と「家」の一部、最近の短篇なぞ。  寂しく地方に住む人たちのためにも、この書がいくらかの慰めにならばなぞとも思う。  大正…

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106、「自然主義文学盛衰史」(正宗白鳥著)(1)は日本自然主義文学語るなり

「自然主義文学盛衰史」 正宗白鳥著 講談社文芸文庫 2002年11月10日発行 ー徳田秋声 島崎藤村は、最後まで殆ど創作力の衰えを見せなかった。2氏は、自然主義作家のうちで最も完成した、代表的作家であるように、文壇に於いて認められている。この2氏の死によって、自然主義文学も一先ず結末を告げたように私には思われる。既にその表面的の役目は果たして引き下がっている。終戦の間際に逝去した2氏。  在来の…

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「千曲川のスケッチ」と私の朝顔≪本≫

 『火事見舞いに来て、朝顔の話しをしていく人』がいる。   この人物は島崎藤村の「千曲川のスケッチ」の“田舎牧師”という短い話の中に登場する。  ご存知のように「千曲川のスケッチ」には藤村が二十代に教師として信州の小諸に赴任し、その頃の七年間の思い出がまとめられている。  お気に入りの方が信州・小諸のご出身ということもあって、読む機会があった。    ここでいきなりですが、その“田舎牧師”一遍(…

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島崎藤村の「夜明け前」を読んで

(木曽路はすべて山の中)という書き出して始まる作品です。 昭和4年に書かれた最後の長編小説です。書くのに、7年の歳月が掛かっています。 我が国の歴史文学の代表作との評価があります。 主人公(藤村の父)・正樹の30年間の歴史を辿りながら。背後にその時代全体の流れをくんでいる。 藤村は馬籠に生まれ10歳で東京に遊学してこの小説を書くまで故郷に帰っていない。 小説の発想は姪のこま子(次兄の次…

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再度の小諸文学散歩

私は小諸で小諸義塾教師をしている時期の島崎藤村に親しみを感じている。自分も若い頃、田舎教師の経験があるからだろう。私は昭和55年(1980年)4月に都内の女子短大の専任講師の職を辞して地方の4年制大学に赴任した。学部学生及び大学院生の時期に苦学生だった私は研究者としての実力がないことを自覚していた。環境を変えて研究の進展を図ろうとした。しばらくは慣れない地で適応するのに苦労をしたが、その後の人生…