平岡聡「南無阿弥陀仏と南無妙法蓮華経」

 私はお寺巡りが趣味なので、日蓮宗のお寺にはあまり仏像がなく、何となく疎遠な感じがしていた。また、日蓮と言えば、激しい折伏で戦闘的であり、戦前には立正安国論が国家主義に利用され、何となく排他的なイメージがあった。一方で、近くに池上本門寺があり、地域の人々に日蓮さんのお寺と親しまれてもいる。浄土宗は芝増上寺には徳川家のお墓もあり、京都の知恩院は堂々たる大寺で格式もある。

 好対照に思われる法然と日蓮だが、法然は南無阿弥陀仏を一心に唱えれば極楽浄土に救われると説いて庶民の信仰を集めた。日蓮も南無妙法蓮華経と唱題を唱えることで即身成仏できると説いた。念仏と唱