小山の上に見えた顔は、穏やかでほっとする雰囲気を持っていた。近くで見上げた時も、流れるような衣のひだも、すっきりした立ち姿も、世界をあまねく見守っているような顔の角度も、心を落ち着かせるものだった。
エレベーターがないと分かっていたが、一応聞かずにいられなかった56メートル314段。ビル20階分はある。
気合を入れて登り始めたが、ちっとも疲れない。それはいいが、とにかく怖い。
ところどころに四角い覗き窓がある。まるでピップエレキバンのように見えるあれだ。自分が観音様のどの辺にいるかを想像する。嫋やかと言いたくなる優美な姿は安定感とは違う。
腕の辺