裏庭の木陰涼しく晩夏なり



 白樺の林明るき晩夏かな  成瀬正俊

 背表紙の金文字薄れ晩夏光  小副川康子

 目を立てて動かぬ蟹や晩夏光  小松崎爽青

 雲の影移るテラスの晩夏かな  木下夕爾

 さざめいて風に晩夏の香を思う アロマ

 麦刈つて晩夏さとき身黄昏へ  藤田湘子

 今日の残暑見舞いにトンボあり アロマ

 玉子茹でて妻よ晩夏の誕生日  原田青児

 笙の譜のうす紙たたむ晩夏かな  山本洋子

 裏庭の木陰涼しく晩夏なり  アロマ

 カーヴひとつ終はれば見えてくる晩夏  櫂未知子 貴族

 バーゲンの夏服派手に着こなして アロマ

 イヤリング軽いさざめ