連載:

「選択肢がなくなる」

スイカを切って待っていてくれる。あと2周しよう。

1周800㍍の市民の森を、200㍍だけ走りあとは早足で歩く。林の外は暑いが、中は日が差さず風も吹いている。

蝉が煩い程鳴く。去年までどうだったか記憶はないが、今年の蝉は大発生と言いたいくらいだ。

大発生という言葉はスズメバチを連想し、刺された場所に来ると自然にスピードを上げる。今度刺されたら危ない。二度目は命に関わる。

一度目はオレンジ色の花、キツネノカミソリが咲く場所で刺された。私はこの花の写真を撮ろうと一度帰宅してカメラを持って来て、草むらにしゃがんだ途端に右脇を刺された。激痛が走った。