連載:倭人伝の真実に迫る

32. 蜀志の「里」

倭人伝は魏志に収録されているので、魏と関係がない国の蜀志や呉志の里については念のために見ておく、というスタンスである。今回は蜀志を見る。この中の「里」は全部で24例あった。このうち前回の「涪は成都から360里」を除いて、「里の長さ」が推定できるものは7例で、すべて長里であった。

32.1 蜀志の里
●益州は千里も広がる天の庫(諸葛亮伝 200年)
 天の庫を四川盆地とみれば、16万㎢、400km四方で長里
●岸伝いに五千余里(許靖伝 200年)
 手紙文で適当な距離を書いていると見られるが、交州から交趾まで2000kmで長里。
●一昼夜に300余里を駆