「大和古寺風物詩」(亀井勝一郎)に思う私の歩み  4、古寺を巡る旅と自分探し

4、古寺を巡る旅と自分探し

〇私が毎月、毎週のように京都・奈良を徘徊したのは、初任地の名古屋に赴任していた30歳までであった。
学生時代の同志も、京都と奈良にいたので、彼らをたよってはじまった古寺巡りの旅だった。

〇最初は美しいとも思わなかった阿弥陀などの平安仏の坐像も20代の後半には美しいと思えた。
そのうち、歴史ある古寺や遺跡を毎週巡り、歴史と季節の中にみを置いている自分を確認しないと、生きている気がしなくなった。
これを作家の赤江瀑は「京の毒」と言っている。
若いころ、京都出身で花道家の川瀬敏郎(この人は本物の芸術家である)と話したが、「そうで