連載:運動

「泣く代わりに走る」

蝉の鳴き声は朝と変わらず四方八方から降って来る。以前よりカナカナカナが増えている。田舎では日暮らしと呼んだこの蝉は、静けさを際立たせる。

4時になるのを待って市民の森に向かった。午前中に孫宅から帰り、ずっとゴロゴロしていた。まだまだ暑い。

十㍍は軽く越える高い木々や草が生い茂り、烏や蝉や秋の虫が鳴く森は、生き物に満ちている。

気を付けないとミミズや蝉の死骸を踏んづけてしまう。この大地の中には沢山の生き物の死骸が混じっているのだ。それが孤独から掬い上げてくれるのかもしれない。

小径の両脇は綺麗に刈取られ、枯れ草の香りが心地良い。

小径を外れて持参