若葉して命溢れる武蔵野に



 いのち微かに振れば音して落花生  正木志司子

 いのち透けうすばかげろふ透けにけり  後藤比奈夫

 いのち美し卒寿の母へ牡丹の芽  高岡すみ子

 いのち透く白魚に箸ためらひつ  村上光子

 卒寿過ぎゆるゆると影透けて  アロマ

 いのち綱たらむと弥陀の糸桜  林昌華

 種袋切つていのちを与へけり  石川文子

 秋袷銀座にいのち預けたり  鈴木真砂女 都鳥

 陶工のいのち涼しきあやめかな  鈴木桜子(曲水)

 仄かにまろしいのちというもの  アロマ

 虫時雨いのち澄みゆく思ひあり  佐藤美恵子

 二つなきいのち異国へ春の星  松