117、「新生後編」(島崎藤村著)は岸本と姪の節子は愛を貫く

「新生 後編」(全2冊) 島崎藤村著 岩波文庫
1956年1月9日発行
ー正宗白鳥が、藤村の「新生」は姪との不倫をテーマにした藤村の人間性を疑うような問題のある小説だと言っていたが読了し、その見事な岸本と節子の心の動き、生活が的確にリアルに描かれていて、生き様に納得させられた。さすが、自然主義の代表作家であり、藤村の代表作だと思った。
ーもはやひところのように恐ろしく神経のとがった、いたいたしい調子は彼女の手紙の中になかった。ことに最近のたよりは、旅に来て岸本が彼女から受け取ったかずかずの手紙の中でもいちばん心やすく読めるような、わだかまりのない調子で書