連載:オカンの一人歩き

「自分に驚いた」

前回の続き。大倉集古館で横山大観も素晴らしかったが、名前を知らない画家が描いた『さやえんどう』が強く心に残った。

派手さとは無縁。何種類ものくすんだ緑色で画面全体にさやえんどうを描いている。並木瑞穂という画家だ。色は地味だが生命力のようなものを感じる。しかも身近な植物で。

他の画家の絵も皆よかった。日本画は線が厳しい。画面に緊張感があり、無駄がない。

画家は描く事が好きで好きで堪らないのだろう。そうでなければあんなに精緻に対象を描く事などできない。

私は自分が今までになく感動している事に驚いていた。

上野の美術館は作品数も多いが、人も多い。人の