デジタルチケット

ナショナルギャラリー展拝観を思い立ち、西洋美術館の案内に従ってイープラスのホームページを開いた。
チケット入手のためには会員登録が必要だと知り、画面から求められるままに情報を打ち込んでいく。名前、生年月日、住所・・・だんだん腹が立ってきた。たかだか一枚のチケットのために、その実態を寸毫もあずかり知らぬ「虚」にひれ伏し、かくまで裸を晒さなければならないのか、提供した情報の将来にまで渡る秘匿性をいったい誰が保障するのか。
胸中をさまざまな思いが交錯した。
私は作業を拒否した。
その間、私はインターネットという仮想の世界にいた。現実と仮想が行きかうなかで現実は