僕はそうは思わない

 伊坂幸太郎の「逆ソクラテス」を読了した。著者はミステリー作家で、本屋大賞と山本周五郎賞を受賞しているが、直木賞候補にノミネートされることを辞退していることで知られている。本書は、少年達を主人公とした、少し心温まる物語を集めた短編集である。
 「逆ソクラテス」:小学六年生の僕(加賀)は、担任の久留米を苦々しく思っている。久留米は教え子達の能力を、自分の主観の基づいて判断して差別するため、劣等生と決めつけられた草薙は、いつも久留米を無視している。僕は四月に転校してきた安斎と組んで、カンニングをすることになる。安斎は、誰に対しても毅然として「僕はそうは思わな