「伊坂幸太郎」の日記一覧

会員以外にも公開

運の悪い殺し屋

 伊坂幸太郎の「777-トリプルセブン-」を読了した。著者はミステリー作家で、本屋大賞と山本周五郎賞を受賞しているが、直木賞候補にノミネートされることを辞退していることで知られている。本書は「殺し屋」シリーズの第四作であり、ツキに完全に見放されている殺し屋の巻き込まれた騒動を描いた、少しドタバタ風の、グランドホテル形式のミステリーである。  物語は事件の二日前に、本書の舞台のウィンストンパレス…

会員以外にも公開

終末のフール

   ~~~ 読書感想 ~~~ 終末のフール  伊坂幸太郎  評価 ☆☆☆ 体調不良だった夏ころから読み始めていて、 後 もう少しで読み終わるのに、なかなかイマイチ ストーリーが掴めなくて、このまま返却してしまおうと 思ったのですが・・でも、、その本に費やした時間が 無駄になってしまうので、まずは・・ 最後まで読んでみようと思いなおしました。 すると・・とても良いスト…

会員以外にも公開

猪苗代湖を舞台として

 伊坂幸太郎の「マイクロスパイ・アンサンブル」を読了した。著者はミステリー作家で、本屋大賞と山本周五郎賞を受賞しているが、直木賞候補にノミネートされることを辞退していることで知られている。本書は、猪苗代湖の音楽フェスティバルで毎年配布した短編を単行本化したものであり、現実世界の会社員とパラレルワールドのマイクロスパイを主人公とした一種のファンタジーである。  一年目:猪苗代湖の畔で任務を終えた…

会員以外にも公開

伊坂幸太郎 著 「アヒルと鴨のコインロッカー」

久々の読書録。 このペースでは『読書好き』とは言えないな。。。 今回は第25回吉川英治文学新人賞受賞作で 伊坂幸太郎 「アヒルと鴨のコインロッカー」 詳細はFC2ブログの方に記載しましたが、 → http://fuutarman.blog.fc2.com/blog-entry-1307.html 正直、面白くはありませんでした。 最近どうも、「血湧き肉躍る」あるいは「作品の世界に没頭する」…

会員以外にも公開

二重写しになった未来

 伊坂幸太郎の「ペッパーズ・ゴースト-Do Junior High School Teachers See the Future of the Others?-」を読了した。著者はミステリー作家で、本屋大賞と山本周五郎賞を受賞しているが、直木賞候補にノミネートされることを辞退していることで知られている。本書は、他人の未来が少しだけ見える中学校の教師が巻き込まれた、爆弾テロ事件を描いたエンターテイ…

会員以外にも公開

著者別インデックス:国内(伊坂幸太郎)

1.オーデュボンの祈り (2000.12)   https://smcb.jp/diaries/4450071 2.ラッシュライフ (2002.07)   https://smcb.jp/diaries/4914590 3.陽気なギャングが地球を回す (2003.01) 4.重力ピエロ (2003.04) 5.アヒルと鴨のコインロッカー (2003.11) 6.チルドレン (200…

会員以外にも公開

僕はそうは思わない

 伊坂幸太郎の「逆ソクラテス」を読了した。著者はミステリー作家で、本屋大賞と山本周五郎賞を受賞しているが、直木賞候補にノミネートされることを辞退していることで知られている。本書は、少年達を主人公とした、少し心温まる物語を集めた短編集である。  「逆ソクラテス」:小学六年生の僕(加賀)は、担任の久留米を苦々しく思っている。久留米は教え子達の能力を、自分の主観の基づいて判断して差別するため、劣等生と…

会員以外にも公開

伊坂幸太郎「ルックスライク」を読んだ

この作品は、新潮文庫の「日本文学の100年の名作」の最終巻第10巻の中に入っている。 伊坂幸太郎は何だったか、前に読んだことがあって、その時はそのペダンティックさと言えばよいのか、ふわふわ浮ついた言葉の羅列だと感じてしまい、あまり良い印象は残らなかったが、今回のこの短編を読んで、思わず「うまい!」と言いたくなった。 高校生の男女とそれより少し上の男女の物語が並行して進んで行くのだが、最後にそ…

会員以外にも公開

二つの世界を救え

 伊坂幸太郎の「クジラアタマの王様」を読了した。著者はミステリー作家で、本屋大賞と山本周五郎賞を受賞しているが、直木賞候補にノミネートされることを辞退していることで知られている。本書は、菓子メーカーの広報部員の岸。人気ダンスグループのメンバー小沢ヒジリ、そして都議会議員(後に国会議員)の池野内征爾の、夢の中と現実の世界を描いた、小説とコミックをコラボレートした一種のファンタジーである。  主人公…

会員以外にも公開

ある童話作家の過去

 伊坂幸太郎の「シーソーモンスター」を読了した。著者はミステリー作家で、本屋大賞と山本周五郎賞を受賞しているが、直木賞候補にノミネートされることを辞退していることで知られている。本書は、文芸誌の「小説BOC」で行われた、八名の作家による「人間の対立」をテーマにした競作で、古代から未来までの日本を描いた「螺旋プロジェクト」の中の二作を収録した中編集であり、著者は「昭和後期」篇と「近未来」篇を担当し…

会員以外にも公開

お誕生日の不思議な出来事

 伊坂幸太郎の「フーガはユーガ -TWINS TELEPORT TALE-」を読了した。著者はミステリー作家で、本屋大賞と山本周五郎賞を受賞しているが、直木賞候補にノミネートされることを辞退していることで知られている。本書は、不幸な生い立ちの双子の兄弟に訪れた奇跡を描いた物語である。  本書の主人公は、双子の兄弟の常盤風我(フーガ)と常盤優我(ユーガ)で、物語の語り手は優我である。本書はTV番組…

会員以外にも公開

「AX 」伊坂幸太郎著

最強の殺し屋は恐妻家 という帯のコピーを読んでコメディか?と思ったけれど、そうではなく。 主人公の兜は昼は文房具メーカーの営業社員という顔を持ち、裏では依頼を受けたら、最強の殺し屋だという。 その仕事の依頼者というのが、医者で 「至急、病院に来てください」と、連絡が入り、「手術が必要です」「やりますか」と、隠語を使って殺しを依頼するというのが、興味深かったです。 兜は、世の中で何よりも妻を恐…

会員以外にも公開

妻を誘拐された誘拐犯

 伊坂幸太郎の「ホワイトラビット-a night-」を読了した。著者は、ミステリー作家で、「ゴールデンスランバー」により、2008年第5回本屋大賞と第21回山本周五郎賞を受賞している。なお、同作が直木賞候補にノミネートされたが、選考を辞退している。本書は、お馴染の泥棒「黒澤」が仙台で巡り遭った、後に「白兎事件」と呼ばれることになる人質立てこもり事件を描いた作品である。  事件の一か月ほど前、兎田…

会員以外にも公開

家族が入れない部屋

 伊坂幸太郎の「AX」を読了した。著者はミステリー作家で、本屋大賞と山本周五郎賞を受賞しているが、直木賞候補にノミネートされることを辞退していることで知られている。本書は、「殺し屋」シリーズ最新刊の連作短編集である。  本書の主人公の「兜」は、表の顔は文房具メーカーに勤める極普通のサラリーマンであり、家庭を持っているが、異常な程の恐妻家であるため、息子の克己に同情されている。しかし、裏の顔は格闘…

会員以外にも公開

サンタクロースの真実

 伊坂幸太郎/文、マヌエーレ・フィオール/絵の「クリスマスを探偵と」を読了した。著者の伊坂幸太郎は「ゴールデンスランバー」で山本周五郎賞、本屋大賞を受賞したミステリー系の作家で、絵を担当したマヌエーレ・フィオールはイタリア人でフランス在住のバンドデシネ作家である。本書は、著者が作家としてデビューする前の大学一年生の時に書いた短篇の処女作を、自身の手でリメークしたものである。  物語の舞台はドイツ…

会員以外にも公開

廻る因果

 伊坂幸太郎の「サブマリン」を読了した。著者はミステリー作家で、本屋大賞と山本周五郎賞を受賞しているが、直木賞候補にノミネートされることを辞退していることで知られている。本書は、家庭裁判所調査官である陣内と、彼が担当する少年事件の顛末を描いた作品である。本書の語り手は、陣内の調査官の後輩の武藤で、武藤は人事移動により陣内の部下になっている。  陣内と武藤が担当する少年の棚岡佑真は、無免許運転をし…

会員以外にも公開

賽の河原の石積み

伊坂幸太郎の「チルドレン」を再読した。著者はミステリー作家で、本屋大賞と山本周五郎賞を受賞しているが、直木賞候補にノミネートされることを辞退していることで知られている。本書は、家庭裁判所調査官である陣内およびその知人達の現在と過去を、周囲の人々の視点から描いた5編の連作短編集である。  「バンク」:語り手は大学生である陣内の友人の鴨井。銀行の窓口で現金を引き出そうとした陣内は鴨井を連れて、営業終…