デパ地下に碧い高菜の樽開けて



 露路いでて海行く子等の夏は来ぬ  石塚友二

 雪国に葛の玉巻く夏は来ぬ  高野素十

 朝刊を広げて読めば夏は来ぬ  鷹羽狩行

 干し烏賊のすだれ沖より夏は来ぬ  小田実希次

 早朝の木立の碧さ夏は来ぬ アロマ

 妻子いつ呼べるや新緑の真只中  石橋辰之助

 新緑のレース綴れり御堂筋  西村和子 かりそめならず

 新緑の 陰影の深さ 鮎解禁はまだです  吉岡禅寺洞

 新緑のうねり隣家を遠くせり  大山昭雄

 新緑や人の少き貴船村  波多野爽波 鋪道の花

  新緑や仰ぎて叩く楡の幹  望月皓二

 新緑の息吹に合わせ深呼吸  アロマ