茶袋のこより外して急須へと



 障子しめて火鉢なつかし若楓  雑草 長谷川零餘子

 若楓縁の障子を外しけり  佐藤紅緑

 石棺の上の上なる若楓  長谷川かな女 雨 月

 橋杭のせて乾ける岩や若楓  雑草 長谷川零餘子

  歩きては憩ひては水の若楓  渡邊水巴 富士

 木洩日を更にちらしぬ若楓  下村ひろし

 杉の間に一きはしるき若楓  臺 きくえ

 初夏の上生菓子に若楓  アロマ

 吹きたわむ楓若葉の吾をつつむ  山口青邨

 多摩と甲斐分つ吊橋若楓  玉置石松子

  大原の昼くもりくる若楓  舟月

 差しのべし手に染むばかり若楓  小川濤美子

 憂き顔の一