柿の色夕日にそのまま溶け入って



 柿右衛門十三代の木守柿  稲荷島人

 柿剥いて大事を事もなげに言ふ  湯川雅

 秋空や柿色のスーツに身を包む  アロマ

 柿渋を塗りし手桶や寒造  阿部月山子

 柿照りて美濃は夕日の大き国  藤田湘子

 柿甘くつめたく旅にひとりあり  高橋淡路女

 熟れた柿甘く柔らか好物よ  アロマ

 柿照って眺めはなやぐ過疎の里  甘田正翠

 柿穫つてやうやく村の空鎮火  松田理恵

 渋柿の下や茶畑大根畠  寺田寅彦

 柿の色鮮やか夕日に溶け入って  アロマ

 無医村の長寿ばかりや柿日和  木村里風子

 熟れ柿に色休まする深曇  林 翔