連載:薩摩よみうり文芸

12月1日薩摩よみうり俳句

淵脇 護 選

婚決めてパールの指輪冬の月
 (評)季語は「冬の月」。「パールの指輪」は「真珠の 指輪」、たいそう高価だと聞き及んでいる。この情景は、おそらく花嫁側の喜びであって、上五から中七に婚約成立の喜びがあふれている。しかし、お手柄は下五で「冬の月」と静かな雰囲気でまとめたところにある。

高千穂のゆるりと座る日向ぼこ   霧島 秋野 三歩
遠き嶺に入り日残して暮れ早し   霧島 池田 章
上げ潮に身をゆだねたり浮き寝鳥 薩摩川内 石堂 絹子
二つ目を必死に堪ふるくさめかな  霧島 内村 としお
埋火や父の小言の懐かしく     霧島 尾上 春風