連載:読書感想文

153、『新樹の言葉』(太宰治著)には著者の甲府時代、著者の兄弟のことなど記す

『新樹の言葉』 太宰治著 新潮文庫
昭和57年7月25日発行
ーこの本は、「美少女」という作品が、YBSラジオで朗読されたことがあり、それを聴いたりして、それの載っている『新樹の言葉』を読んでみようと思っていて、今回読了した。
ー新樹の言葉
 押し入れから甲州産の白葡萄酒の1升瓶をとりだし、茶飲茶碗で、がぶがぶのんで、酔って来たので蒲団ひいて寝てしまった。これも、なかなか、ばかな男である。
 私は生まれ落ちるとすぐ、乳母にあずけられた。理由は、よくわからない。母のからだが、弱かったからであろうか。乳母の名は、つるといった。津軽半島の漁村の出である。未だ若