ウェストン『日本アルプスの登山と探検』はなかなか面白い

ウェストン(1861ー1940)と言えば、山に登る人は大体その名前を聞いたことがあるのではないか。日本登山の黎明期にイギリスから日本に来て、日本の山々に登り、その中でも中部山岳地帯を「日本アルプス」という名称で有名にした人である。案内人の上條嘉門次との河童橋での写真もよく知られているのではないかと思う。

岩波文庫の表紙には、「槍ヶ岳、乗鞍岳、立山、穂高岳、御嶽などの登山や周辺地域の民情がユーモアに満ちた文章でつづられた山岳文学の古典」とある。その通り。特に「周辺地域の民情」が丁寧に描かれているところが、ほかの山関係の本と違うところだと思う。イギリス人ウ