バトミントンが結ぶ絆

 ジョン・ル・カレの「スパイはいまも謀略の地に」を読了した。著者はイギリスのMI5(軍情報部第5課)、MI6(秘密情報部:SISの通称)勤務を経て小説家としてデビューしており、前職の経験を活かしてスパイ小説をテリトリーにしている。なお著者は、2020年12月12日に亡くなっている。本書は、ブレグジットで揺れるイギリスを舞台とし、ロシアの大物スパイを迎え撃つ、練達のスパイの活躍を描いたエスピオナージである。
 本書の主人公のナット(ナサニエル)は、イギリス秘密情報部(SIS)所属の四十代後半のスパイである。ロシアを標的とした諜報活動に長年携わってきたナット