春一番笛吹く如く路地を行く



 明け初むる街我が物に春一番  布川孝子

 春一番笛吹く如く路地を行く  アロマ

 春一番去りて武蔵野晴れ渡り  高木邦雄

 ざあざあと雨を従へ春一番  品川古市

 春一番想い出深き街の辻  アロマ

 にんげんを叩(はた)き込んだり春一番  竹内悦子

 春一番駕籠には乗らず金毘羅宮  岡山敦子

 春一番今朝の迷ひを吹き飛ばし 森なほ子

 春一番バス停までを闇雲に  アロマ

 楠大樹春一番とせめぎ合ふ  原田達夫

 自転車に翼生えくる春一番  頓所友枝

 校庭に軋む旗竿春一番  黒木東吾

 野面積の残る城址へ春