マレヒトの殺人

 方丈貴恵の「孤島の来訪者」を読了した。著者は京都大学卒で、在学時は京都大学推理小説研究会に所属しており、2019年に「時空旅行者の砂時計」で第29回鮎川哲也賞を受賞し、作家デビューしている。本書は、同書に続く「竜泉家の一族」シリーズの第二作と銘打たれているが、ストーリー的にも登場人物も前作とは無関係であり、少しずっこけ気味な特殊設定の孤島ミステリーである。
 主人公の竜泉佑樹は、殺害された幼馴染の続木菜穂子の復讐を誓い、犯人である三人に接近するために、Jテレビの子会社のJ制作にアシスタントディレクター(AD)として潜り込んでいた。三人の標的とは、Jテレ