悪の精カラボスの正体

 秋吉理香子の「眠れる美女」を読了した。著者はミステリー作家であり、2008年、「雪の花」で第3回Yahoo! JAPAN文学賞を受賞して作家デビューしている。本書は、2017年10月に刊行された「ジゼル」の続編で、旗揚げ公演を前にした東京スペリオール・バレエ団で起こった連続殺人事件を描いたバレエ・ミステリーである。
 前作の「ジゼル」事件で主力メンバーを失った東京グランド・バレエ団は、東京スペリオール・バレエ団に衣替えし、旗揚げ公演を目指す。ダンサーの如月花音は、新設されたバレエ団では重役である理事を兼任することになり、自分の演技以外に経営面まで担当す