改名の動機

 愛川晶の「芝浜の天女-高座のホームズ-昭和稲荷町らくご探偵 4-」を読了した。著者は本格畑のミステリー作家である。本書は、「稲荷町の師匠」と呼ばれた八代目林家正蔵を名探偵役とする落語ミステリーであり、安楽椅子(座布団?)ミステリーの一種である。なお、本書の物語、正蔵と鏡治の年齢から考えて、1979年(昭和54年)の夏に始まると思われる。
 「プロローグ」:消息不明になっている噺家の三光亭鏡治を探す私立探偵の安川新太郎は、横浜中華街の占い師のソイル許を訪ねる。彼はその占い師が鏡治ではないかと考えていた。
 第一話「白兵衛と黒兵衛」:主人公の三光亭鏡治、本