桜湯のの塩味仄か口中に



 
 存分に遊びし夜の桜漬  柴田佐知子

 櫻湯や吉野の一重ひらきをり  瀧春一

 桜湯の喉越しやさし夕茜  森山のりこ

 瑠璃色の器にもりし桜漬  森山のりこ

 湯を注せば春さきがけの桜漬  善野行

 桜湯の色は雪洞ともる色  後藤立夫

 桜湯のの塩味仄か口中に  アロマ

 萩碗に桜湯ひらく安けさよ  德田千鶴子

 桜湯の花びらゆれてさくら色  辻香秀

 桜湯の香の残りたる白磁かな  笹村政子

 桜湯や夫との月日父母を越え  長谷川翠
 
 束の間の日ざし桜湯花ひらく  的池遙
 
 蘇る桜湯いのちのさくら