蹲に落花し長閑さ存分に



 玉垣のひまをゆききす落花かな  山本歩禅

 無住寺の畳の上の落花かな  田島大尭
 
 蹲に落花し長閑さ存分に  アロマ

 満身に落花一瞬世と隔つ  香西照雄 対話

 火渡りに似たる逡巡落花踏む  川村紫陽

 母校今あらず落花の駆くるのみ  岩崎照子

  水に置く落花一片づつ白し  藤松遊子

 法螺貝の音の中なる落花かな  角川春樹

 浴びつつも浴び足らはざる落花かな  相生垣瓜人 明治草抄

 海峡を越えて行きたる落花かな  坊城俊樹

 山門に落花観音堂に花  橋本榮治 越在

 何処へ行かう落花名残の風あをみ  林翔 和紙