七色のビードロを吹く春の暮れ



 肩寄せてムーミンとゐる春の暮  小澤徳江

 絵の中のわれに似し人春の暮  涼野海音

 豆腐屋のチャルメラ流る春の暮  神山市実

 気がつけばまだ明るくて春の暮  稲畑汀子

 田舎道長閑に帰る春の暮 アロマ

 春の暮優しい時めき胸にして  アロマ

 うどん屋の隅に落着く春の暮  今野節子

 帆船が影絵の距離に春の暮  牛田修嗣

 梵鐘の音の溶けゆく春の暮  森紀子

 ほろ苦きものなど湯掻き春の暮  橋本くに彦

 春の暮 菜花湯掻いて吸い物に アロマ

 書斎まづ点りわが家の春の暮  鷹羽狩行

 七色のビードロを