誰が誰を殺したのか

 下村敦史の「同姓同名」を読了した。著者はミステリー作家で、「闇に香る嘘」で2014年第60回江戸川乱歩賞を受賞して作家デビューいる。本書は、十数名の登場人物が全て「大山正紀」という人物である、叙述タイプのミステリ―である。
 2013年9月、大山正紀は公園で遊んでいた6歳の津田愛美ちゃんをトイレに連れ込んで殺害したが、遺体には28か所の刺し傷があった他、頭部が首の皮一枚で胴体に繋がっているという残虐な犯行であったため、世論は激昂する。後に犯人が16歳の未成年であることが判明すると、少年法を批判する声が高まる。その中で、とある週刊誌が、法律違反を承知で猟