五月鯉風をはらんで悠々と



 小豆餡ずんだ餡あり柏餅  河内桜人

 白味噌の餡望郷の柏餅  成宮紀代子

 柏餅狭庭の隅に葉を探す  アロマ

 傾ぎぶり佳き黒松や柏餅  荒井千佐代

 筆太の老舖の暖簾柏餅  細島孝子

 味噌餡にこだはりし母柏餅  遠藤節子

 水筒を新茶あふるる柏餅  水原秋櫻子

 山彦のよく返る日よ柏餅  荒井千佐代

 赤ちゃんのようにやわらか柏餅  林田麻裕

 柏餅ほどの靴はき初節句  梅田武

 小さき手の握る未来や柏餅  池乗恵美子

 柏餅つつむ母の手若かりし  安立公彦

 故郷の香りしてゐる柏餅  箕田健夫