十月桜溶け入るかに仄かなり



 行く秋や仁王の一人遠目して  沼田巴字

 行く秋のこゑ水に聞く石に聴く  間島あきら

 行く秋や間を計りつつ玉露つぐ  長谷川はまゆう

 行く秋の日差しは円か縁側に  アロマ

 ゆく秋や星を誘へる山家の灯  斉藤マキ子

 行く秋や松並木尽き法隆寺  今泉忠芳

 一日のどつと暮れゆく秋なすび  秋山信行

 行く秋に近くを散歩虫集く  アロマ

 青空を容れて十月桜かな  中根美保

 絹雨に十月桜なほ透けて  甲州千草

 十月桜溶け入るかに仄かなり  アロマ

 無秩序のリズムにおどる夏の雨  松山律史

 ピカッと