世界で唯一つの本

 青崎有吾の「図書館の殺人」を読了した。著者はミステリー作家であり、2012年、「体育館の殺人」で第22回鮎川哲也賞を受賞して小説家デビューしている。本書は、「体育館の殺人」を初めとする「裏染天馬」シリーズの第四作であり、風ヶ丘高校図書委員長城峰有紗の従兄が、市内の図書館で深夜に殺害された事件の謎を追及する、学内随一の天才裏染天馬の名推理を描く青春ミステリーである。
 夏休みが終わり、二学期制の風ヶ丘高校の期末試験期間が始まるため、試験勉強のために風ヶ丘図書館を訪れた城峰有紗は、従兄で横浜国大二年生の城峰恭助に会う。有紗と恭助は二人とも、子供の頃から風ヶ