脳天杭打機

 長崎尚志の「パイルドライバー」を読了した。著者は漫画週刊誌編集長出身の漫画原作者、ミステリー作家である。本書は、閑静な住宅街で起きた一家惨殺事件を扱った警察小説で、警察を辞めようと考えている若手刑事と、今は退職している元名刑事がバディを組む。
 本書の視点人物は、神奈川県警刑事部捜査第一課強行第一中隊の中戸川俊介巡査部長である。俊介は名門高校に入学したが東大進学に失敗し、県内の無名の次第に入学している。卒業時にはマスコミを志望したが、ことごとく撥ねられ、止むを得ず警察に就職している。それでも、交番勤務時代にとある事件で犯人を言い当てたため、捜査一課に引