自分のことは自分がいちばん知っていると思っているけれど、実は知っていると思っているだけではなかろうか。
自分のことなのだから、自分がいちばん良く知っているはずだ。それはたしかに間違いではない。他人のほうが自分のことをよく知っていることはない。
疑問に感じているのは、自分のほんとうの気持ちが自分にわかっているかという点だ。
こころの奥には本当の気持ちが潜んでいて、ふだんなかなかそれを自覚はできないのが実情ではないだろうか。
そう感じるには理由がある。
たとえば肉親の死に直面するとき。ともに暮らししていた肉親ならばなおさらで、失ってはじめてその存在が心
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