新涼の卓に銀器や皿の音



 人の子を牛が見てゐる秋の暮  山口誓子

 子を叱つて母たのしまず秋の暮  山口誓子

 家ちかく踏むは砂地や秋の暮  山口誓子

 反橋を行き新涼の風の上  山田弘子

 新涼の母国に時計合せけり  有馬朗人 知命

 新涼の牛がつれ鳴く塩くれ場  松本 進

 新涼の窓辺に日は暮れ泥む アロマ

 新涼の琥珀明暗首飾  山口青邨

 新涼の雲美しや信濃ゆく  稲畑汀子

 新涼の漁火に風あるらしき  西村和子 かりそめならず

 新涼の浜に一人落日を  アロマ

 新涼の雀のこゑのよきこゑす  森澄雄

 新涼の風とは俄なりしもの  小川竜雄