公安警察とオカルト教団

 柚月裕子の「朽ちないサクラ」を読了した。著者は、2008年に第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞してデビューしたミステリー作家である。本書は、警察の怠慢に関するスクープ記事を巡り、その情報元を追及して殺害された新聞記者の親友の死の真相を探る警察の一般職員の女性の姿を描いたミステリーである。
 本書の主人公の森口泉は、東北地方の米崎県の米崎県警広報広聴課県民安全相談係に勤務する一般職員である。その広報広聴課には、朝から苦情電話が殺到し、課長の富樫隆幸以下、臨時職員までの全員で対応に追われていた。その理由は、その日米崎新聞で報道されたストーカー殺人