「柚月裕子」の日記一覧

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少年が非行に走った理由

 柚月裕子の「風に立つ」を読了した。著者は、2008年に「臨床真理」で第7回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞してデビューしたミステリー作家である。本書は、家庭裁判所からの補導委託により非行少年を迎え入れた南部鉄器工房人々の姿を描いた作品である。  物語の舞台は、岩手県盛岡市の南部鉄器工房「清嘉」であり、視点人物は工房を営む小原孝雄の息子で三十八歳、独身の小原悟である。悟の母親の節子は既に他…

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止まってしまった時間

 柚月裕子の「ふたつの時間、ふたりの自分」を読了した。著者は、2008年に第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞してデビューしたミステリー作家である。本書は、著者がデビューしてから十五年間に様々な媒体に発表したエッセイや受賞記念講演の原稿を収録したものである。  本書を読むと、作品のイメージとは異なり、著者は子供時代は引っ込み思案で物静かだった様である。その原因として著者は、親の転勤により…

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教誨 キョウカイ

   ~~~ 読書感想 ~~~ 教誨 キョウカイ  柚月裕子  評価 ☆☆☆☆ 今年は、これで26冊目です・・12月に4冊読んだとしても 30冊がギリギリかもしれません。 一昨年が73冊、昨年が44冊・・ 段々、読めなくなっています。 読まないのかもしれません(笑) 遠縁の死刑囚・響子の身柄引受人に指名された 香純と母は、刑の執行後、遺骨を受け取った。 香純…

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ペットボトルに入れられた希少動物達

 柚月裕子の「合理的にあり得ない 2-上水流涼子の究明-」を読了した。2008年に、第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞してデビューしたミステリー作家である。本書は、陰謀に嵌められて弁護士資格を失い、探偵エージェンシーを経営する上水流涼子の活躍を描いたシリーズ第二作のミステリーの連作中編集である。  本書では明示されていないが、本シリーズのヒロインの上水流(かみづる)涼子は、親の代から…

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最期の言葉の真意

 柚月裕子の「教誨」を読了した。著者はミステリー作家で、2008年に第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞して作家デビューしている。本書は、遠縁の死刑囚の身柄引受人として処刑後に遺骨を受け取った主人公が、死刑囚が遺した最後の言葉の謎を追う姿を描いたミステリーである。なお本書では、謎を追う主人公の香純を描いたパートと、処刑された響子の心情を描いたパートが交互に描かれる。  物語は三十三歳の…

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朽ちないサクラ

   ~~~ 読書感想 ~~~ 朽ちないサクラ  柚月裕子  評価 ☆☆☆☆☆ 所轄署が被害届の受理を延ばし、 慰安旅行に出かけた末にストーカー殺人を 防げなかったと新聞にスクープされる。 県警広報事務の森口泉は、親友の新聞記者が 記事にしたと疑うが、その彼女が殺されて…。 【紹介】 米崎県警平井中央署生活安全課が 被害届の受理を引き延ばし、慰安旅行に出…

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柚月裕子 の 教誨(きょうかい)

新聞広告の帯封に「幼女2人を殺めた女性死刑囚、最後の言葉『約束は守ったよ、褒めて』」から、珍しく現代ものを読んでみることになった。塩田武士の「罪の声」以来かもしれない。 遠い親戚だという理由で、死刑囚・三原響子の身元引受人となった吉沢香純は、東京拘置所で遺品と遺骨を受け取ることになった。刑を執行された響子の最後の言葉も聞いた。秋田の母親も既に亡く、本家とされる家も、その菩提寺も遺骨を受け取…

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親孝行な娘の真実

 柚月裕子の「チョウセンアサガオの咲く夏」を読了した。著者は、2008年に第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞してデビューしたミステリー作家である。本書は、著者のデビュー以来、様々な媒体に収録された短編を集めた、ノンジャンルの短編集である。  「チョウセンアサガオの咲く夏」:代理ミュンヒハウゼン症候群をモティーフとした掌編ミステリー。三津子は病気や怪我の多い手のかかる子供だったが、四十…

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パレートの誤算

  ~~ 読書感想 ~~ パレートの誤算  柚月裕子 評価 ☆☆☆☆ 父の姿を追い念願の市役所に就職する事 が出来た牧野聡美。 福祉保健部社会福祉課で、生活保護の受給者 を担当する事になった。 市役所で生活保護受給者のケアの担当 になった聡美。 不安を抱く彼女を励ましてくれた 先輩の山川が殺された。 優秀な先輩の知られざる一面が見えてきたとき、 新たな惨劇が…。 社会派サスペンス。 …

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神か、悪魔か

 柚月裕子の「ミカエルの鼓動」を読了した。著者は、2008年に第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞してデビューしたミステリー作家である。本書は、難病の少年の心臓手術の術式を巡る二人の心臓外科医の対立と、手術支援ロボットに纏わる疑惑を描いた医療サスペンスである。  本書の物語の主人公は、北海道中央大学(北中大)病院循環器第二外科科長兼病院長補佐で四十五歳の西條泰己である。西條は、ロボット支…

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あしたの君へ

あしたの君へ 柚月裕子  評価 ☆☆☆☆☆ 裁判所職員採用試験に合格し、家裁調査官に採用 された望月大地。 だが、採用されてから任官するまでの二年間 ――養成課程研修のあいだ、修習生は 家庭調査官補・通称“カンポちゃん”と呼ばれる。 試験に合格した二人の同期とともに、 九州の県庁所在地にある福森家裁に配属された大地は、 当初は関係書類の記載や整理を主に行っていたが、 今回、はじめて実際の…

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巻き戻される記憶

 柚月裕子の「月下のサクラ」を読了した。著者は、2008年に第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞してデビューしたミステリー作家である。本書は、「森口泉」シリーズの第二作で、友人の殺害事件を切っ掛けに、警察の一般職員から刑事を目指した主人公の姿を描いた警察小説である。  前作において、本書の主人公の森口泉は、東北地方の米崎県の米崎県警広報広聴課県民安全相談係に勤務する一般職員であったが、新…

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公安警察とオカルト教団

 柚月裕子の「朽ちないサクラ」を読了した。著者は、2008年に第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞してデビューしたミステリー作家である。本書は、警察の怠慢に関するスクープ記事を巡り、その情報元を追及して殺害された新聞記者の親友の死の真相を探る警察の一般職員の女性の姿を描いたミステリーである。  本書の主人公の森口泉は、東北地方の米崎県の米崎県警広報広聴課県民安全相談係に勤務する一般職員で…

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慈雨・じう

   ~~~ 読書感想 ~~~ 慈雨   柚月裕子 評価 ☆☆☆☆☆ 柚月裕子『慈雨』凄い警察小説だった。 新しい形の警察推理小説と言っても良いでしょう。 過去の事件への贖罪の念に苛まれる元刑事を中心 とした人間ドラマと共に現在進行形で進展する事件の、 どちらも目が離せない展開の面白さ。 晴れやかな気持ちになる感動のラスト。 久し振りに読んだ柚月裕子の小説としては 非常に満足のいく作品…

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著者別インデックス:国内(柚月裕子)

1.臨床真理 (2009.01) 2.最後の証人-佐方貞人シリーズ 1- (2010.05)   https://smcb.jp/diaries/8032192 3.検事の本懐-佐方貞人シリーズ 2- (2011.11) 4.検事の死命-佐方貞人シリーズ 3- (2013.09) 5.蟻の菜園-アントガーデン- (2014.08) 6.パレートの誤算 (2014.10) 7.朽ちないサクラ-森口…

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暴虎を食い止める者

 柚月裕子の「暴虎の牙」を読了した。著者は、2008年に第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞してデビューしたミステリー作家である。本書は、広島県を舞台として、マル暴刑事と極道との壮絶な闘いを描いた「孤狼の血」「狂犬の眼」に続く、「孤狼の血」シリーズの完結編である。  本書の物語は、昭和57年6月の広島で始まる。それは、広島県警の刑事日岡秀一が広島県呉原東署捜査二課暴力団係に配属され、ガミ…

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柚月裕子 『暴虎の牙』 読了

柚月裕子の 大上章吾 を主人公とする 『虎狼の血』シリーズ最新刊 『暴虎の牙』を読了した。 これは広島県警 マル暴(暴力団担当)刑事を 主人公とする 『虎狼の血』 『狂犬の眼』『暴虎の牙』と続く 3冊のシリーズの最新刊であり、この 『暴虎の牙』は 本年の3月に刊行されており、まだ文庫化はされていない。 小生 大抵の本は文庫化されてから、Amazonで買うのを習慣としているのだが、この本は 文…

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外れ

柚月裕子 って 好きな作家だ。 この人の新作を新聞広告で見て、久しぶりに新本を二冊も買ってしまった。狂犬の眼 と 暴虎の牙。いずれも 面白かった覚えのある孤狼の血の続編ということだった。 外れというものはあるもので、折角なけなしのお金で新本を買った割には 面白くなかった。 お勧めしません。