紅葉に「無常」を感じる日本人

(藤原正彦「この国のけじめ」・・「秋はキノコか紅葉か」文芸春秋 より)

日本のカエデの葉は、小ぶりで薄く楚々としている。新緑のシーズンは目の覚めるような緑だが 紅葉の時期は鮮やかな”紅”色に全山を染める。そして日本の紅葉がこれほど美しいのはどうやら、その日本独特の植生にあるらしい。

アメリカやイギリスに住んでいた頃、紅葉狩に行ったことがある。しかし紅らしい紅色を見たことがなく、味気ない思いをしたものだ。イギリス人の知人も「イギリスのカエデの葉は、日本のものより厚ぼったいので繊細さがなく紅葉の時期も、ただ大きい黄色い葉だ」と言っていた。

「もののあは