吉野山窓一面の草紅葉



 啼く猿に峰の秋色にはかなり  松本幹雄

 鮠釣るや秋色ふかき湯檜曽川  伊東宏晃

 秋光の風貯へて山揺るる  奥田智久

 秋光が秋光を呼び瑠璃の碗  狹川青史

 窓開き秋光あふれ部屋包む  アロマ

 秋光や仁王の臍は一文字  小島千架子

 水かげろふ舟屋も揺れて秋の色  和田ゑい子

 海峡を行き交ふ雲の秋の色  法本フミ女

 天檀の扉の一枚に秋日炎ゆ  横山房子

 旅人に秋日のつよし東大寺  飯田蛇笏 霊芝

 落葉松の林を透きて白き秋日  瀧春一 菜園

 色の浜家々秋日わかち住む  高木晴子 花 季

 逃げやすき秋の日惜み小