晩秋は突然に

 夜半の雨は、突然に晩秋をつれてきた。
十月前半は、初秋とは思ないほどの夏日が続いた。
季節というものは、徐々に気づかないほどゆるやかに
ゆるやかに変わっていくものだ。
ある瞬間に突然夏が終わり、秋がきたなどということは
あり得ないと思っていた。

 でも、どうやら自然の輪廻にも微かな異常が生じて
いるような気がする。
今年は、初秋というひとつの繊細な季節を感じない
まま晩秋に突入するような気がする。

 秋の静かな雨もそれほど長くは続かずに雲の切れ間
から薄日が差してきたので窓を開けた。
冷え切ったガラス戸の向こうの街路樹には、すでに
黄色の葉を落とし