ゆったりと肩掛けを編む女学生



 夕暮れや十一月の風ふはり  秋川泉

 影と化し十一月を釣る男  久保夢女

 霜月の空気の匂い草の色  アロマ

 十一月ビルの谷間に雲垂れて  本田武

 うすうすと十一月は雀色  中村洋子

 峡の空十一月の風が研ぎ  山田閏子
 
 靴替へて十一月の旅ごころ  小澤克己

 海碧く十一月の遠富岳  林友次郎
 
 まだぬくき十一月の旅二日  小澤克己

 モカの香や十一月の神保町  奥田弦鬼

 帆立の殻山積みにして十一月  諸戸せつ子

 夕暮の鐘の響きや秋深み  今村千年

 日の当る安房の稜線秋深み  安斎久英