デパートに手袋を買う師走なり 



 大吟醸香りに混ざる夜霧かな  岡野安雅

 山あひに沈む一村夜霧濃し  塩路隆子

 おはら節流る夜霧の町並に  延川五十昭

 遠き灯のふと揺らぎたる落葉かな  山田弘子

 よべの雨落葉かがやく朝かな  稲畑汀子

 駅ごとに落葉舞ひこむ有馬線  中尾廣美

 寄鍋の笑ひ間歇泉に似る  田村園子

 寄せ鍋や赤と白との味噌を混ぜ  黒木東吾

 寄せ鍋の豆腐魚介に舌鼓  アロマ

 寄せ鍋や小走り買ひの葱一把  久保東海司

 寄鍋の蓋が躍れば箸騒ぐ  稲畑廣太郎

 寄鍋に浪速の贅を尽くしたる  三村純也

 きりたん