草紅葉なだらか斜面を染め上げて


 
 落葉はき今日はきれいに隣まで  塚村素代

 煉瓦道落葉の色も煉瓦色  鎌田俊雄

 留学の孤独癒せり落葉焚  泉田秋硯

 美術館落葉の嵩の夕明かり  水野あき子

 武蔵野の黄葉明るく散り敷いて アロマ

 山路来て落葉の嵩の深くなる  伯井茂

 交番や落葉まみれの交差点  若菜純子

 夕暮れの木立の下に落ち葉して アロマ

 馥郁と落葉の匂ふ日のありき  足立典子

 落葉掃く朝の嫗の笑顔かな  白石秀雄

 初恋や踏みし落葉のやはらかき  小林あかり

 会一つ終へて露けき日々となる 稲畑汀子

  朝風にひとり