居酒屋で鰤の刺身の葱塗れ



 昼過ぎの漁港とろりと冬日差  隈部郁子

 冬日さす神戸駅舎の貴賓室  津田霧笛

 薪割の鉈置きしまま雪蛍  谷田明日香

 うすうすと日は坂道に雪螢  岩﨑俊

 湖の宿朝餉の膳に氷下魚汁  奧田恵美

 炙りし氷下魚で一膳飯を   アロマ

 竿に吊る氷下魚たちまち棒となり  田中久仁子

 虹いろの氷下魚跳ねたるまま凍る  岡本敬子

 氷下魚焼く部屋くゆらせて旅の果  鈴木愛子

 木の槌で叩き灸れり干氷下魚  有村節香

 旅の宿氷下魚(こまい)ルイベを熱燗で  アロマ

 落日の海は一気に冬の色  浅野恵美子