山眠る夕暮れの空美しく



 いくたびも虹を吐いては山眠る  高野ムツオ

 南面に残せる放馬山眠る  皆吉爽雨

 山眠る 玻璃越しの冬景色  アロマ

 わたくしの前おほらかに山眠る  野末たく二

 塩炒つてぬくめる腹や山眠る  龍岡晋

 夕日背に黒々と山眠りたる  稲畑廣太郎

  夜よりも昼深々と山眠る  古住蛇骨

 山眠り椎の実あまた降らせたり  楠本憲吉
 
 山眠る飛騨の質屋の暖簾かな  柑子句集 籾山柑子

 山眠る浮世絵いろの夕焼に  朝倉和江

  山眠る温泉のまちの人やさし  上村占魚 鮎

 山眠る夕暮れの空美しく  アロマ

 山眠る湾をいだいて