クリスマス夜話 ~聖子の夢~

クリスチャンでもないけど、クリスマスがやってくるのが待ち遠しい、聖子は、いつでも、そんな感じの子だった。
聖子の家のケーキは、いつも、二十五日の夜に食べるものだった。 それほど、裕福じゃない聖子の家では、イブの夜には、ケーキは、無理だった。それが、翌日の二十五日には、結構大きいケーキが、半額で、近くのスーパーで売られていた。仕事帰りに、父親が、いつも、なぜだか、にこにこしながら、ケーキの包みを、大事そうに、抱えて帰ってくるのを、一人っ子の聖子は、今か今かと待っていたものだった。
年に一度のケーキの日だった。

『だから、おまえは、今でも、ケーキが好きなの