誰かが書いたツクリモノの世界で、これ程までに劇的に精神が変化した事が今までにあっただろうか。
知らない作家だ。しかも私より遥かに若い。およそ私が今まで文学的だと思っていた世界とは無縁で、その辺にゴロゴロ転がっているような、何の飾りも工夫もない言葉から成る世界にノックアウトだ。
胸の辺りがザワザワと得体のしれない不安の塊に覆い尽くされそうになる夜、枕辺に置いた本に手を延ばす。
『余命一年、男をかう』(吉川トリコ)。新聞で見かけたタイトルに簡単に引っかかった。本屋に行くまでもない。スマホ様登場。ピポパで注文完了。
直ぐに届いたが、暫くほおっておく。ま